係の生徒に促され、ステージ上へ向かうと、あたしたちが出た瞬間弾けるような歓声。


「…こうゆうの、あまり好きじゃないのに」

「心も原因の1つなんだよ?」


微笑むナツに苦笑が漏れる。

…その微笑みも原因だと自覚してほしいものね。



『では、かいちょ…』

「俺、最後」


さっきから黙ってた音弥がそう言うと、司会の生徒も『は…はい』と言うしかないようで。



『では、副会長より一言御挨拶を』


音弥、と咎めるように見ると舌を軽く出された。


ひんやりとしたマイクを受け取り、ホール中を見渡す。



「今年度の副会長を務めさせていただきます。渡瀬心です」


そう始めると、何処からか「渡瀬さーん!!」という声掛けらしきものがいくつも飛んできた。


「…ご声援、ありがとうございます。非力ですが、皆様に快適な学校生活を送って頂くための僅かな力になれたらなと思います。1年間宜しくお願いいたします」


最後ににっこり笑って頭を下げたら後ろから紫苑に「何人か倒れちゃうよ?」と悪戯そうに囁かれた。


「そんなわけないでしょう」



紫苑に囁き返したけど、何人も倒れたのは事実だったのは、…触れないことにします。