『続いて、今年度の生徒会長及び生徒会の方々から御挨拶をいただきます』



高等部入学式の数日後、あたしたちの挨拶の為に全校がホールに集められた。


そんな、あたしたちは今ホール袖で待機中なんだけれど。



「ああああああたし、何言おう!?」

「おおおおおお俺も、何言おう!?」


紫苑と流衣は完璧混乱していて、よく分からない奇声を発していた。



「しぃ、流衣。落ち着いて」

「だって、ナツ…っ」

「大丈夫だよ、俺がいる」


そう言ってナツが笑うと、紫苑も落ち着いたようにふんわりと笑った。



「ありがと、ナツ」

「ん」



愛しそうに紫苑の頬を両手で包み、額と額を合わせる姿は昔からの光景だった。


「紫苑って、緊張すると熱出るもんなー」

「それをいっつもナツが確認するのよね」



昔から変わらないその光景は、2人の関係が変わってないのを示しているのに。


…どうして、こんなに切ないのかしら。


ねえ、ナツ。


本当に貴方は伝えないの?