「先輩、不潔ー」

「不潔ー」

「…ナツ、お前な…」



ケラケラ笑って宮原先輩をからかう2人の姿は仔犬2匹の戯れみたいで。なんだか、こっちも笑ってしまう。



「ったくさー、ナツもう告っても…」

「流衣」

流衣が言いかけた言葉を音弥が制し、流衣も気付いたのかばつが悪そうな表情を浮かべた。



「…わり」

「…言わないつもりよ、ナツは」


あんなに仲が良いのに、ナツは紫苑に想いを伝えることが出来ない。あんなに…あんなに仲が良いのに。



「紫苑…ナツに自分が苦しい想いさせてるって気付いたら泣きそうだわ…」

「心も人のこと言えねえからな」


そんな流衣の言葉に顔を勢いよく上げたけれど、視線は生徒会資料に向いていた。


「……流衣」


困惑の表情を浮かべてたら、後ろから紫苑が抱き着いてきた。


「心っ!」

「…紫苑」

「決めよ?ナツは何が良いんだっけ?」

「会計」

「ナツが会計ならあたしもー!!数字好きじゃないもん!!」

「…しぃ、俺に任せる気でしょ」

「ご名答ー!!」



今、笑っていられるなら、こんな切ない想いが交差している状況でも甘受出来てしまう。…それは、あたしの勝手な考えなのかしら。