<心>


紫苑が宮原先輩の何かに興味を抱いたらしく、ずっと傍に居る。…それを見て、あたしたちにしか分からないぐらいにナツが眉を潜めてるのを見て苦笑が漏れた。


…紫苑にちゃんと言わなきゃ、紫苑には伝わらないわよ。



「心」

「はい」


神代先輩に呼ばれ、渋々先輩に顔を向ける。



「お前らも将来を考える時期だろ」

「…そうですね」



あたしは家元として、紫苑もいずれ紫苑のおじ様のように外交官を目指すだろうし、音弥は如月病院の、流衣は宝城グループの、ナツは相良グループのトップになる。


…もう、将来を意識しなきゃいけない時期なのよね。



「それとこれと何が関係あんだよ」

「自分が満足できる、心から楽しめるスクールライフ作りたくないの?音弥」


音弥はじっ、と黙り先輩の意図を汲み取ろうと視線を外さない。



「やる」

「!?」



ナツがやっと冷静に宮原先輩と紫苑を引き離したと思ったら、そう呟いた。


「そうだよな!!やろうぜ!!」

「ナツも流衣もやるなら、あたしもやるー!!」


ナツに流衣が便乗し、それに紫苑も便乗。


「心と音弥もやろうよーっ!」

「……ち、めんどくせえな」

「…仕方無いわね」



ほんとに、この子たちには敵わないな、あたしは。