「…私たちにそんな器量はありません」


そこで何であたしと流衣を見るのかな、心さん。


「別に俺たちが今年もやっても良いんだよ」

「…なら先輩がやれば良」

「お前らが作った文化祭だとか体育祭だとか…お前らが作ったのをあたしたちは見たいんだよ」


奈都佳先輩があたしと流衣の方に近寄って、頭をわしゃわしゃ撫で付けてきた。


「ちょ、奈都佳せんぱ…!!」

「髪の毛ぐちゃってなったんすけど!!」

「それにさー、紫苑たち人気あるじゃん?」


奈都佳先輩にぐしゃぐしゃにされた頭を直していたら今度は宮原先輩に急に肩を抱かれた。宮原先輩の首元に顔があたり、香るのは甘い匂い。



「ちょ、紫苑…?」

何の匂いか確かめたくて、首元でくんくんやってたら宮原先輩があたしの顎をくいっと掴み、顔を上げさせる。



「紫苑、これが2人っきりなら良いんだけど、さ?お前のナイトくんが若干キレそうなんだよね」

「ナイト…?だれ…?てか、先輩この匂い何の?甘い」

外国製のキャンディーみたいな、ケーキみたいな、とにかく甘い匂い。



「こいつ無自覚に男を落と…」

「先輩」

「ナツ、これは俺のせいじゃねえよ…」