長い廊下を抜け、突き当たりの部屋へとなだれ込む。


「神代先輩!」


流衣が息切れ切れに名前を呼ぶと、部屋の奥にある窓の近くに立っていた人物が振り返った。


「おー、後輩くんたち」

黒髪を揺らしながら、爽やかに笑う神代先輩も今は敵でしかない。


「…どうゆうことだよ」

「音弥、こえーよ」


そんな声が聞こえて、書類室から輝く金髪が段ボールを持ちながら笑って出てきた。



「下月くん、まだ荷物って…あら」

「詩織先輩ーっ!!」


ロングヘアをふわりと揺らし、あたしたちに気付いた詩織先輩の後ろからは。


「詩織いきなり止まんなよ…ってお前ら」

「奈都佳先輩、ご説明お願いします」

「心たち、揃ってどうした?」


ショートの毛先をカールさせ、さっきまで正装だった筈の制服は素晴らしいぐらい乱れていた。
そんな奈都佳先輩に心が詰め寄る。



「次期生徒会メンバー勢揃いしてんじゃん」

「きゃあ!!」


後ろから温かいものに包み込まれて、抱えられる。


「ちょ、宮原せんぱ…」

後ろから抱き締めてくる宮原先輩の手をはずそうとすると、ナツが宮原先輩の腕を掴んだ。

「………」

「痛えって!!ナツは紫苑のことだと、すぐムキに…」

「先輩、怒るよ」



……ナツ?