弱気な魅奈だったが、実のところ信二も同じ意見だった。
「いいか魅奈ちゃん。さっきも言ったけど、朝まで逃げ延びたからといって助かる保証はない。それに、冴子は足を怪我してる。いつまでも逃げきるのは難しいかも知れない」
魅奈はその言葉に、ハッとして冴子の方を見た。
ストレッチを続ける冴子だが、やはり足をかばっているのがわかる。恐らく次に襲われたら真っ先に狙われてしまうだろう。
「……わかりました。やりましょう」
魅奈も覚悟を決めた。
「いいな、信二」
「あ、ああ……」
自分一人反対する訳にもいかず、信二も了承した。
……そして、具体的な作戦会議が始まった。会議は三十分程続いたが、その間に例二匹がやって来る事はなかった。まるでここだけは、彼らが立ち入る事の出来ない聖地で
あるかのように。
「よし、行動開始だ!」
立てた作戦はというと、体育館に二匹とも誘いだし、閉じ込めた後で体育館ごと焼いてしまうという、単純ながらも大胆なものだった。各自の役割を決め、一時間以内に準備を整える事になった。

現在時刻は二時。三時には作戦を実行に移さなくてはならない。
ここに、生き残る為の最後の大作戦が始まった。