『夏に転校生なんて来るんだぁー』
どこからともなく聞こえてくる生徒の声。
先生は口々に話し始めて騒がしくなる生徒を黙らせる。
外は清々しい青い絵の具で描いたようなキレイな青空を窓から眺めていた。
「転校生だって♪男かな?!」
前の席に座っている友達の美穂は少し興奮気味に振り返ってあたしにたずねる。
「うぅ~ん…さぁ?」
「ちょっと梓、気合なさすぎっ」
気合もなにも、転校生如きでザワザワ騒ぐほどなの?
…と思わず言いそうな口を抑えて言葉を飲み込んだ。
―木下梓―
高校1年生の夏、我がクラスに転校生が来るそうです。