視線の先にいる女に、俺は一瞬にして目を奪われた。
騒がしいはずの店内の音は、俺の耳には入らない。
俺は一瞬でどこか遠くの世界に来てしまったようだ。
女がゆっくりと唇を動かすのが見えたが、何を言ったのかはわからない。
まるで雲の上に、二人きりでいるような感覚に陥った。
真っ白な雲の上、太陽の光を独り占めするように輝く女
俺は視線を外す事が出来ず、食い入るように女を見つめていた。
外人のような、ベージュブラウンの緩く巻かれた柔らかそうな髪
透き通るような白い肌
子犬のように大きく潤んだ薄茶色の瞳
俺はその瞳に吸い込まれる。
綺麗
可愛い
似合う言葉が見つからない。
天使?女神?
そんな架空の人物が本当に存在するのなら、きっとこんな姿をしているのだろうか……
胸が締め付けられるような……
心が暖かくなるような……
不思議な感じがした。