救急車が到着した頃には数台のパトカーも到着し、
他にも目撃者がいた事からすぐに綾香は連行された。



俺は誠さんの乗る救急車に乗り、香織さんのいる病院へと向かった。




ストレッチャーに横たわる誠さんの後を追い、手術室の前まで来ると


「直くん!!」


長いワンピースのようなパジャマ姿の香織さんが待っていた



「香織さん……」


誠さんに気付かなかったのか

香織さんは誠さんではなく、俺の方に足を進ませた



「ねぇ!!どう言う事なの!!?」



「…………」


香織さんを前にした俺は言葉が出ず、誠さんの方に視線を向けると



「まーくん!?誠!!」



香織さんは俺の視線を追って振り返り、誠さんに駆け寄った。



「誠!!誠!!香織だよ!!誠!!」



「主人は……?」



「かなり危険な状態です。」



「うそ……助かりますよね!?」



「手は尽くします。」



「誠!!死んじゃダメだよ!!あたし達の赤ちゃん!!二人で育てなきゃ!!」



「奥様はここで。」



医者は香織さんに、手を握る隙も与えてくれず

誠さんと共に手術室に入って行った。




「誠……!!誠ォォォォォ!!!!!!!!!!!」