送りの車がいなくなった後のビル下には、代わりに一台の車が停まっている。



良い家が一軒は買える値段の高級車



葉月さんが言うには

《高い車は安全性が高いのよ!見せびらかす為に選んだんじゃないわ!》


そんな葉月さんの特等席は、比較的安全だと言われる運転席の後ろの席。


あたしはその隣の席に乗り込んだ。




「最近いい店見つけたのよ~!!」


「そうなんですか。」


「そこの子がね~美月とおんなじような目をしてるのよ~」


「へぇ~」



どんな目?



「着いた♪」



葉月さんと他愛もない話をしているうちに、葉月さんの言う目的地に着いた。



窓ガラスから見えた景色は、あまりに見覚えのある場所で

あたしは降りるのを躊躇いながらも、葉月さんに言われるがままにとりあえず車を降りた。