あたしを抱きしめる斉藤さんの腕はキツくなり


「大事にするからね。」


「大好き。」


「俺も。」


公園のベンチ

湿った空気

Tシャツに染み付いた煙草のにおい

斉藤さんの腕の中は

とても暖かくて

ドキドキして

でも安心した。





「もう遅いから帰ろうか。」


「斉藤さん。」


「斉藤さんじゃなくて慎吾ね!」


「じゃあ慎って呼ぶ♪」


「うん♪
あっでも桜では斉藤さんな!!」


「慎って呼ぼっ♪」


「やめろよなー!!」


帰り道はずっと手を繋いだまま

慎の大きくてゴツゴツした手は、一秒たりともあたしの手から離れる事はなかった。