さっきの男…


なんだったんだろ…。


ただの人助けの人には見えなかった。



顔はあの薄暗いところじゃあんまり見えなかったし、


名前なんて聞けもしなかった。






だけど言葉とは違ってそこまで後悔だとかしなかった。




『ただ私を助けてくれた人』



そう言う存在だった人。




だから別に名前だとか聞いても仕方がない。


顔なんて知らなくてもいい。



だってこれからもう会うことなんてないんだから。


ただ偶然に通りかかった人なんだから。






そう、


軽くこのときは思っていた。



だけど、この男…"由良"との出会いが


私の心を大きく変える人物だと知らずに―…