ついにゲームが開始された。


ルイは拓馬の家の前へ行くと、ドアを蹴破って中へ入った。


「ちっ……」


家の中はすでに荒らされていた。おそらく、モンスターがすでに入ったのだろう。


だが、拓馬の遺体はない。どうやら、上手く逃げたようだ。


ルイは家を出ると、マンションが立ち並ぶ住宅街を走り回った。


「どこだ!」


血相を変えて拓馬を探すルイ。


そのとき、ルイの前にボーンナイトが一体立ちはばかる。


「邪魔だ!」


一瞬でボーンナイトを粉々に砕くルイ。ぐずぐずしていると、拓馬が殺されてしまう。


「くそっ……」


キョロキョロと辺りを見渡すが、拓馬の姿はない。


周りの通行人が、ルイをチラチラと横目で見る。


目がいっても仕方ない。ルイの格好は、鉄の鎧に、鉄の剣。どう見ても、いい大人がコスプレをしているようにしか見えない。


「オラ、見せもんじゃねぇよ!」


そのルイの叫びに、通行人が目を反らす。


畜生……格好が格好だ。あんまり目立って、通報でもされたら敵わねぇな……


そのとき、木の陰に異様な気配を感じる。誰かが、隠れている……


拓馬か?


そのときだった。


ピピピ……


ルイの腕時計から、音が鳴り響く。


「畜生!」


ルイは舌打ちすると、走り出した。


奴に遭ったら、殺されてしまう。一度、大通りに逃げ出すルイ。


そのとき、不幸にもパトカーが一台通る。


「もう、こんなときに!」


髪をクシャクシャと掻き毟るルイ。


予想通り、パトカーはルイの前で止まった。