あたしは、俯いてしまった。



「また、明日香かよ。意味わかんね~。何で嫌がらせをしないと気がすまないかな・・」



「ああん、オレンジの匂いが~。どうしてくれるのよ!?クリーニング代、いくらかかると思ってるのよ!!もぉ・・・」



あたし達は、レミの自分が可愛いって仕草を見ているだけだった。







放課後。



千鶴は、愛好会で、一緒には帰れなかった。



まっすぐ家に帰るのもなんだし、ぶらつく事にした。



「あーあ、何か新しい出会いがない物かしら」



センター街の、角を曲がろうとした時。



ドン。



誰かとぶつかった。



あたしの頭の中で、レミとぶつかった時がフラッシュバックする。



「ごめん、大丈夫だったかい?」



手を差し伸べてくれたのは、うちの高校の制服を着た男の人だった。



「あ、はい。そちらこそ、大丈夫ですか?」



光の逆光で、よく顔が見えない。