大丈夫。



あたしは大丈夫だから、悠君、目を覚まして?



最後に、悠君の手を握った。



握り返してはくれない、そう思っていた。



もちろん。



「あたしは、これで帰るね?悠君・・・・」



席から離れた。



しばらくは、逢えないね。



でも、お見舞いは来るからね。



あの時、あたしはどんな顔しただろう。



「明日香ちゃん?」



あたしは、悠君のお母さんに呼び止められた。



「今日はありがとね。きっと、悠も嬉しいと思う。悠、いつ目を覚ますか分からないから、ちょくちょくお見舞いに来てね?」



「はい。もちろん、そのつもりです。未来の、悠の奥さんですから」



「そう」



あたしは、後ろからの視線を無視(というか、気にしなかっただけ)して、病室を後にした。



さっきは、急いで階段を上ったけど、その倍遅く降りる事にした。