・・・これだけのことをしているのに・・・
そんな見返りを求めるようになってきた。
そんなことを考えはじめたら、もう終わりだと思った。

会いたいから会いに行く。

会うことの意味。
時間とお金を使って、俺は1年以上もの間何をしていたんだろう。
もっと早く気付けばよかった。

情。
いつの間にか、情に変わっていたことに。


沙希に出会ったからではなく、
ダメだったんだ。

◆◆◆◆

「ごめん。恵莉奈。ダメなんだ。」

「別れよう。」


恵莉奈は何も言わなかった。

もう会うこともないだろう。

「今まで、ありがとう。」

「さようなら。」


電話を切ろうとした瞬間、

「健吾!?」

「私との3年はそんなものだったの?
健吾の言葉はすべて嘘だったの?」

嘘じゃない。
そんな言葉、必要ないことくらいわかってた。

「私は、健吾と結婚して、子供産んで、幸せな家庭築いて、ずっとずっと一緒にいるんだって。
もし健吾が死んじゃったら、さみしくって、私もすぐに死ぬんだろうなって。
そう決めてたのに。そう願ってたのに。」

「ごめん」

何で、謝ってるのかわからなかった。
でも、この言葉しかでてこなかった。


「やっぱり、納得できない。
こんなにこんなに大好きなのに。」

「ごめん」

「ごめんじゃ納得できない!!」

「・・・」

「あぁーあ、納得できないなぁ~。
ちょっと頭冷やして、健吾の気持ち取り戻す方法、考える。
おやすみ。」

「えっ・・・・!?!?!」
がちゃ。。


電話は切れてた。

でも、俺はちゃんと伝えたんだ。

けじめつけたんだ。

恵莉奈の言葉より、俺は沙希に電話をかけたくて仕方なかった。