化粧をしたことの無い私は、雑誌を見ながら10時になる少し前まで鏡と睨めっこをしていた。


〈ピンポーン〉


「理奈。たー君来たわよ~!」

「は~い。」

私は、鏡の前に立ちおかしくないか確認すると、部屋を出て玄関に向かった。


「おはよう。拓哉。」


「ああ。おはよう。理……!」

拓哉は、私の顔を見ると顔を赤くして目を開いたまま固まっていた。


「拓哉大丈夫?熱でもあるんじゃない?」


「だだだ大丈夫だから!それよりもう行こか!」

私が、拓哉の顔を覗き込むと拓哉は、急いで顔をそらし私の腕をつかんできた。


「じゃあお母さん。行ってくるね。」


「いってらっしゃい。楽しんで来るのよ~。」


母に見送られ、私たちは遊園地に向かった。