話してる途中だった。
メグは頭を撫でている手を振り払うと、眉を下げて泣きそうな顔でオレを見た。




「……真紘は、あたしの事全然見てくれてないね」




「え?」




泣きそうな表情を見て目を見開いているオレは、間抜けな声を出す。
すると聞き返したオレを無視して、メグは口を開いた。




「真紘は中学生だからって真剣に聞いてない。あたし中学生だけど……真紘とひとつしか変わらない女だよ」




俯いて震えた声でオレの腕をキュッと掴んだ。




「中学生で子供かもしれないけど……あたしだって来年高校生なの。高校生と変わらない恋するんだよ」




震えた声は掠れて、聞き取りにくい。
ふと見ると、床にポタポタと涙の痕が滲む。




「メグ……」




「でも……そう思うのは、あたしだけなのかもしれない。だってあたし……高校1年生がすごく大人に見えちゃうもん。1歳しか変わらないのが信じられないくらい輝いて見えるもん」




キュッと再びオレの腕を掴むと、メグは涙が溜まった瞳でオレを見上げた。
そして流れる涙も気にせずに微笑んだ。




「きっと……あたし背伸びしてるだけだったのかもね。だから……多分、真紘への気持ちも憧れだったのかも」




そう言うと、メグは俯いた。
小さな華奢な肩が震えている。