オレは真っ直ぐ彼女の顔を見ると、素直に伝えた。
「オレ……お前の事ホントいい奴だと思ってる」
オレに尽くしてくれるし。
オレを一途に思ってくれる。
「でも……。好きに、なれなかった」
「え?」
さっきまで笑っていた彼女の顔が一瞬にして曇った。
それを見て、オレは胸が痛くなった。
「だから。いい奴だからこそ。中途半端な気持ちで付き合いたくないんだ」
傷つけたくない。
でも、こんなフり方傷つくってのは分かってる。
だから少しでも傷を浅く……。
「だからごめん……。別れてほしい」
すると彼女はオレの制服の袖を掴んだ。
「何で!?あたしの何が不満なの!?」
顔を見下ろすと、みるみる大きな瞳に涙が溜まっていく。
「不満なんかないよ」
「じゃ何!?あたし頑張るから!」