後半2点を守りきって、旭達は勝利を収めた。
喜んでいる旭達と女の子達を背にあたしはその場から離れた。
すると歩き出すあたしに気付いた胡桃はキョトンとあたしを見た。
「どうしたの?真姫」
心配そうに聞いてくる胡桃にあたしは笑顔を作って答えた。
「何か……人多すぎて疲れちゃったみたい。ちょっと人少ないとこで休んでくるね」
そう言ってあたしはゆっくりと歩き出した。
何だろう。
嬉しい事なのに。
すごくすごく喜ばしい事なのに。
あたし……喜べない。
笑えない。
来なきゃよかった。
ああやってサッカーしてる姿見たら、ホントに遠い人なんだって改めて自覚させられたから。
夢心地で……いたかったな。
格好いい姿見れたのに。
見たくなかった。
あたし……矛盾してる。
あたしは人気の少ない噴水の前に行くと、そこに腰掛けた。
遠くから歓声が聞こえてくる。
こんなに遠くに来たのに。
聞こえる……。
それくらいの大人数が喜んでるんだ。
「やだなぁ……ホントに遠いじゃん」