少し低くて小さな声に、あたしは思わずドキッとした。




……旭の声だ。




チラッと見ると、サッカー部のジャージを着ている旭がゆっくりと近づいてくる。
少しずつ大きく見えてくる旭に近づいてくるにつれて、あたしのドキドキは大きくなってくる。
遠慮がちに見つめていると、旭もチラッとあたしを見てすぐに視線を湯田先輩に向けた。




「監督が集合だって……言ってましたよ」




ネックウォーマーに顔を埋めて呟く旭に、湯田先輩はハッとして頷いた。




「分かった。急いで行くよ」




そう返事をして、湯田先輩はあたし達を見下ろした。
そしてニコッと微笑んで口を開く。




「じゃぁ、試合の応援よろしくね」




「はいっ!!」




元気よく胡桃は返事をすると、満足そうに湯田先輩は去って行った。
その後ろ姿を見ていると、旭は湯田先輩をジーッと見ている胡桃をチラッと見て、あたしに視線を移した。




「あのさ……」




「ん?」




頭を掻きながら旭は口を開いた。
あたしはキョトンとしながら旭を見上げると、旭は少し頬が赤らんでいた。
その表情を見てあたしも思わず赤くなる。
すると旭は遠くを見ながら言った。




「試合終わったら……帰り待ってろ」