「あの……何か?」




あたしは遠慮がちに聞いてみると、湯田先輩はフッと笑った。




「いや。私服の真姫ちゃんは普段より可愛いなって」




あ、はは……。
あたしは苦笑いしながら手を振って否定した。




「そんな事ないですから」




すると湯田先輩は口を開いて、“そんな事ないよー”ってヘラヘラ笑った。
その直後あたし達の方に胡桃が走ってやって来た。




「ごめん!遅くなったぁ!って湯田先輩!!」




あたしと話していた湯田先輩は胡桃の走ってきた方向からは背中しか見えなかったらしく改めて顔を見ると、興奮気味で大声で湯田先輩の名前を口にした。




「こんにちは。胡桃ちゃん」




「こ、こんにちは!」




笑顔で胡桃を見下ろして挨拶をする湯田先輩に、胡桃は顔を赤らめる。
その表情を見て、やっぱり……胡桃は湯田先輩の事好きなんだなぁって思った。




2人をボーっと見ていると、遠くから湯田先輩を呼ぶ声がした。




「湯田せんぱーい」