すると旭は俯きながら呟く。
「知りませんよ」
そう言ってあたしを睨んだ。
睨まれたあたしは一瞬ドキッとする。
知らない……か。
そりゃそうだよね。
ただの幼馴染だもんね。
ってあたし……何ちょっとショック受けてるんだろ。
するとグラウンドで練習をしていた部員が2人に声をかける。
その声に振り返った湯田先輩は返事をして再びあたし達を見上げた。
「じゃ、オレ達練習だから。じゃぁね」
そう言って手を振る湯田先輩にいち早く反応したのは胡桃。
「はい!頑張ってくださいねー!」
胡桃はニコニコ笑いながら大きく手を振る。
すると何かを思い出したように、ハッとして湯田先輩を呼び止めた。
「先輩!」
「ん?」
胡桃の呼ぶ声に再び振り返ると、湯田先輩はいつもの笑顔。
すると胡桃は言った。
「来週大会あるんですよね!?」
「うん。あるよー」