人の少なくなった放課後。
あたしは友達の胡桃(クルミ)と一緒に2階の自分達の教室のドアから下を覗きこむ。
その理由は……。
「きゃぁー!格好いいっ。やっぱ湯田先輩格好いいよねー」
そう言って教室の窓から見えるサッカー部のキャプテンである湯田先輩を見て叫ぶ胡桃。
湯田先輩っていうのは、笑顔が爽やかで。
紳士的ですっごく優しい先輩。
だからかな?
湯田先輩はものすごくモテる。
だってあれ。ああやって、先輩を見る為にグランドの隅で見てる女子も多いし。
なのに、彼女はいないって噂。
だから余計……みんなが黙ってない。んだろうね?
「胡桃ってば前のめり危ないよっ。落ちる」
あたしは慌てて今にも2階から落ちそうな胡桃のブレザーを引っ張った。
すると胡桃は頬を膨らませながらあたしを見つめた。
「もぉ、真姫は!全然男の子に興味ないんだからっ」
興味がないって……。
それを聞いてあたしは苦笑い。
「湯田先輩にだって興味ないし」
湯田先輩?
確かに格好いいと思うよ?
でもさ……。
「まさか。パパのが格好いいもん。とかいうんじゃないでしょうね」
そう言ってあたしを横目で見る胡桃。