そう言って俺は真姫をもう一度睨んで視線をフイッと逸らした。
すると真姫はクスッと笑って俺の肩に手を乗せた。
「はいはい。分かったから機嫌悪くなんないの。あたしが走るから機嫌直しなぁ?」
肩をポンポン叩いてから真姫は笑いながら小走りになった。
そのおかげで、俺はさっきより自転車が漕ぎやすい。
俺の前をちょこちょこと走る真姫。
茶色の髪は走るとその衝撃でふわふわとしている。
……畜生。
何で真姫を見て可愛いなんて思ってんだよ。
真姫が前にいてよかった。
きっと今、俺の顔はきっと赤い。
こんな顔を見せたら、理由を聞かれそうで。
聞かれた時どう答えたらいいのか分からなくて。
もし答えた時、真姫がどんな顔をするのか怖かった。
間違っても好き。になんかならない。
俺達は幼馴染だ。
んでもって、こいつは俺をどうも思ってない。
好きになっちゃいけない。
でも、好き。を意識してしまう。
意識してしまう自分に戸惑って、俺に笑いかけてくれる真姫に素直になれない。
なぁ。真姫。
お前は俺を幼馴染としか見てないんだろ?
だったら……。
そんな優しくするなよ。
そんな可愛く笑うなよ。
俺を惑わすなよ。
自覚なんだろうけど……。
今、すげぇ切ないよ。