「俺自転車持ってくっからちょっと待ってろ」
ぶっきらぼうに言い放って、俺は真姫の返事も聞かずに歩き出した。
俺は普段の通学方法は、歩きだ。
でも今日は寝坊して朝練に遅れそうだったから自転車で来た。って訳。
自転車に跨って、俺は真姫の待つ昇降口に向かった。
自転車置き場は昇降口のすぐ後ろにある。
だからすぐに小さな真姫の姿を見つける事ができた。
俺は駆け足で俺の方に近づいてくる真姫をチラッと見て、そして立ち止まった事を確認して自転車を漕ぎ出した。
しばらく2人無言で歩いていると、真姫は俺に向かって呟いた。
「ねぇ?」
「ん?」
真姫に耳を傾けると、真姫は首を傾げながら言った。
「何で一緒に帰ってくれるの?」
「え……」
突然聞かれて俺はギョッとした。
それはだなぁ……。
正直自分でも分からなくて、痛いとこつかれた。
何て言おう……?
ここで、“気付いたら誘ってた”なんてホントの事。
言える……訳ねぇ。
「それはっ……別に理由なんてねぇよ。気まぐれだよ」
気まぐれ……ってなんだよ?
自分でも意味分かんねぇよ……。