「――何で胸が痛いんだろ…?」

あたし、大丈夫?

あたし……とうとう躰まで、おかしくなっちゃったか。

そう思うと、その場を去った。


どれくらい、歩いていたんだろう?

ふと空を見あげると、オレンジ色がかかっていた。

あー、もう夕方か…。

足が痛くなっているのは、たくさん歩いたと言うことを証明させる。

早く家に帰らなきゃな。

そう思った時、
「瑞希?」

聞き覚えのある声が、あたしを呼んだ。

その声に振り返ると、
「――虹…」