「あわっ…!

コーヒー1つって!」

慌てて言うあたしは、もはや変人だ。

自分でも何をしているんだろう…。

「……そう」

柊くんはそれだけ言うと、あたしの前を去った。

「はあ…」

気づかれないように、あたしはため息をついた。

あたしのバカ、柊くんにまで迷惑をかけたじゃないの!

ここまできたら、重症でしかなかった。


「ありがとうございましたー」

帰って行くお客様の背中にあいさつすると、片づけに向かった。

「あっ」

さっきの美人な男の人が座っていたテーブルだった。