図書館の中は人が少ない。
だから落ち着く。
最近、何かとここに来てしまう。
オレは席についてスクバから勉強道具を取り出す。
しばらく問題に食いつくけど、分からない。
「んー……」
オレはクシャッと髪を掻いて、立ち上がった。
参考書……。取りに行こう。
スタスタと歩き出して、本棚を見渡す。
1番端の本棚を覗きこむとオレはある人に視線が止まった。
「……」
オレの探していた参考書を手にとって俯いている女の人。
茶色の髪は長くてストレートで。
カーディガンの袖から見える肌は白くて。
落ち着いた印象の綺麗な人。
でも、長い髪からチラッと見える瞳はどこか寂しそうだった。
……私服だし。大学生、かな?
ふとそう考えていると、オレの視線に気付いた女の人はオレの方を見た。
あ……。
咄嗟に視線を逸らしたけど、それと同時にクスッと笑う声が聞こえてきた。
その笑い声を聞いてゆっくりと女の人に視線を向けると、女の人は微笑みながらオレを見つめていた。
「これ……見たかったの?」