「なるほど……かなえさん。頭いいですね」
そう言ってフッと笑う輝君。
その笑顔を見て思わず顔を赤らめる。
でもそれに気付かなかった輝君は、またノートへと視線を落とした。
「ねぇ?輝君……」
「はい?」
ノートに視線を落としながら答える輝君。
その輝君を見ながらあたしは呟いた。
「前……あたしに、“一緒にいて落ち着く人を見つけてください”って言ったよね」
そう聞くと輝君は問題を解きながら頷いた。
「言いましたね」
トクン。
心臓が大きく脈を打つ。
あたしはシャーペンを握っている輝君の右手にそっと手を添えた。
それに気付いた輝君は、あたしを横目で見てキョトンとする。
「かなえさん?」
「その一緒にいて落ち着く人……輝君じゃ駄目、かな」