----ピッ、ピッ
薄暗い部屋に静かに響く、ケータイの音。
哀しくないのはきっと、そう思い込んでいるから。
本当は・・・外に出られないほど目を泣き腫らしてる。
ケータイの画面に表示される"削除しますか"の文字。
思い出の写メが次々と無になっていく。
震える手、息が出来ない。
最後に表示された写真には、ふたりの最高の笑顔。
思わず手が止まる。
「っ・・・・・・」
やっと止まった涙がまた溢れ出してきた。
「消せるわけ・・・ないじゃん・・・・」
どんなに貴方が酷い人でも、忘れられないよ。
だって・・・
好きだから。
前々から解ってた。
貴方が・・・明良が浮気性だってこと。
それでも我慢できた。
あたしが一番だって信じてたから。
それでもね、限界ってやっぱりあるんだね。
"好き"だけじゃどうにもならない事もある。
あの日、あたしから別れを告げた。
それだけなら、ここまで泣かなかったかもしれない。
うん、絶対泣かなかった。
後悔はしてたかもだけど…。
あの日、明良は最後にこう言った。