甘い、香水…


「…起きろ」


低い声…


「2年か?」


少し掠れてる…


「ゆ…うり?」


───は!?



ガバッ

そこであたしの意識は現実へ。

「起きたか?」

あたしの前には知らない男が…


黒髪、短髪、眼鏡をかけててスーツを着てる。


「なんで…あたしの名前?」
「あ?カバンだよ」

周りを見渡すとまだ誰も居ないらしく、あたしとその男の人だけ。


カバン?


カバンに目を向けると、たしかに悠莉と思いっきり書いてある。


──で


「誰ですか…?」

疑問を口にする。

すると男の顔が一変。


「お前、知らねーの?」


眉をひそめ、怪訝そうに聞いてくる。

ヤバい!怒らせた!?

「あっ……あまりお見受けしないお方なので…はは」

必死に弁解。


「ほお~知らないのか。まぁ、三年と一年の体育の教師だからな。」


「えっ!?教師!?」

ヤバッ…

本音が…

「んだと?」


明らかにキレてる!

ごめんなさいー!


「見たことは…あるんだけど、遠くだし名前知らないし…そういう意味の誰って意味で………」

怯えながら、顔を向けると先生は顎に手を置きあたしをまじまじと見つめた。

「俺は、谷中悠輔23」

にっにじゅうさん!?

わっか………


「お前は?」

「あたし……?あたしは、吉原悠莉17」

「2年か?」

「2年6組」

「6組ってハゲ太郎のクラスか!?」

あたしの担任。

端下(はしげ)太郎

略してハゲ太郎。

「そう!てか、先生がハゲ太郎なんか言っていいの?」

「いいの。俺、あいつ嫌いだし」


「えーなにそれ!」

「席隣なんだよな。まぢ参る」

「うわーまぢ萎えるね」

「だりぃ。まぢねーわ」

……なんか、先生と話している気がしない。


楽しくて気使わなくて大丈夫な感じがする。

─────…


「マヂで!?やっば!ちょー爆笑~」


時間も忘れて2人で騒ぎあった。