教室についた。


まだ誰も来ていない。

しんとした教室に学校。


それなのに……――


ガラッ。


誰かが入って来た。



その人はバスケの格好をしていた。

朝見た人と同じ物のタオルに……ボール。



え?
一瞬目を疑った。


恋地で見た人にそっくり。

いや、それ以上にかっこよかった。




『あ、おはよう。』

かっこいい。
あたしは見とれていた。





『おい、ちびー』



え?
誰かが喋った。



ここにはあたしとバスケの格好をした人、2人しかいない教室なはず。


まさか………ね?


『おい、無視すんなや。』


え。
いや、だってあたしの目の前にいるのは、爽やかでかっこいい、もろ王子様みたいな人で………


『おい』とか『ちび』言わなそうな人で………




すると、その人は黒板に文字を書き始めた。



『俺は、瀬名 藍。よろしくな。』



あたしは黒板に書かれた漢字の名前しか見れなかった。


″瀬名藍″
学校では知らない人はいないはず。

それくらい人気だった。

あたしは今朝、一目惚れした人と話していたんだ。と気付いた。



『お前は?』


え。
あたし?
しんとした教室………
沈黙が続く。


話さなきゃ……
話さなきゃ………―――