ストローでアイスコーヒーをかき混ぜる。氷とグラスがぶつかって涼しげな音をたてた。
無表情で座る彼女の前には、僕と同じようにアイスティーが置かれている。

僕らのあまりにちぐはぐだった恋は今終わろうとしている。

「出ようか」
「うん」

そう言いながらもアイスティーを放さない彼女をいじらしく思いながら、僕は席を立った。

「ばいばい」

蚊の鳴くような声がする。わざと気づかないふりをして、僕は店を出た。