そこに写っていたのは、車椅子に座り最後の仕上げをする
スフォルテさんの姿──。
「彼はね、壁面
『我々の後の世ならば洪水が来てもかまわない』
の原作者で、そして現場で制作を指揮していたんだけど
制作の途中、オランダに戻った際に、何者かに自転車に爆弾をしかけられて両足を失ったんだよ。」
「えっ──…!?そんな…酷い──」
「そうだね…酷すぎるよね。
本来なら、そんな残酷な出来事に遭えば、現実から逃げ出したくなるかもしれない──…
だが…彼は、逃げ出さなかった…
その残酷な出来事からも
自分の未来からも…。
その強い信念が、この絵から伝わってくるんだよ…
負けたらいけない…
目の前の現実から逃げたらいけない…
立ち向かうんだって…
彼が、そう言っている気がして、ならないんだ──」