「うっ…!」

しかしすぐにクイナの表情が歪み、その体が傾いた。

「クイナさん!」

慌ててクイナの体を支えたカルマは、彼女の様子に気付いた。

犬神のダメージを、その身に受けたのだ。

「…今はこうするしかないんです」

犬神はそのままでは存在していられない。

寄生する人間がいれば、何とか生きていられる。

意識を失ったクイナを抱き上げ、カルマは夜空に浮かぶ満月を睨み付けた。

「マカ、マノン…」

カルマの声は、冷たい風にさらわれた。