あまりの異様な光景に、息さえできない。

―ところが。

彼等は気付かなかったが、わたしは気付いてしまった。

彼等の背後の闇から、1人の黒づくめの青年が出てきた。

青年はフードで顔を隠していたが、その口元は楽しそうに笑っていた。

青年は音も無く彼等の背後に立った。

すると―彼の影が動いた。

影は細長く幾重にも分かれて、彼等の体を次々と刺していった。

「っ!?」

声も無かった。

彼等は空気だけを吐き出し、すぐに絶命した。

血が、流れる。

彼等の体や、地面、そして池にも。

「…う~ん。コレでもまだ、足りないなぁ。姉さん側には高い能力者が多いから、もっと力を付けないとな」