わたしが目覚めた時、そこは病室だった。

笑顔の若い看護婦がいて、わたしは病院の敷地内の池の近くで倒れていたことを教えてくれた。

だけどわたしは…自分が何者なのか、記憶を失っていた。

冬なのに裸で、身分を証明するものは何一つ周りに落ちていなかったらしい。

無傷なのが、唯一の救いだろう。

そこの病院の計らいで、わたしは記憶を取り戻すまで、ここで厄介になることになった。

しかし幾日過ぎても、わたしは誰だか思い出せない。

だがある程度の知識はあって、障害者というワケではなかった。

記憶の方はサッパリだが、専門的知識を持っていたので、もしかしたら何か専門職に就いていたのかもしれない。