『私がお父様に従って、
無理矢理こちらに連れて
きたのがいけなかったの
でしょうか?もしも誘拐
なぞされていたら!?』
弥嘉は止めどなく溢れる
涙を手でおさえながら、
転校前の出来事に思いを
馳せていた。
『もしそうならば、ここ
で立ち止まっているわけ
にはまいりません!!私は
未熟でも壱加様の守護者
なのですから!!』
弥嘉は勢い良く席を立ち
3人の顔をまじまじと見下
ろし始めていた。
翠は怪訝な顔をしたが、
それに構わず笑みを浮か
べて「いってきます」と
言うなり弥嘉は一目散に
教室を出て行った。
その後紗奈恵と耀の溜め
息だけが、教室全体を包
み込んでいった。
――守護者の真価が遂に
問われることになる――
【Chapter.3 門出】 完