「心配して頂き、有難う
ございます。ですがもう
決めたことですから」
弥嘉は穏やかな口調なが
らも真剣な眼差しを耀に
向けていた。
「ヤヨが怪我したり傷つ
いてるところなんか見た
くはないよぉ……」
耀は弥嘉の決意が揺らが
ないことを悟り、徐々に
潤んできた目を擦りつつ
声を絞り出した。
「有難うございます」
耀の言葉を噛み締めて、
弥嘉はもう一度感謝の意
を述べていた。
ジリリリリリリリリリリ
突然、その雰囲気を切り
裂くようなけたたましい
音が教室中に鳴り響く。
それに続いて、すぐさま
校内放送が入った。
「緊急連絡、緊急連絡。
守護者並びに志願者は、
ただちに正門の前に集合
してください。ドラゴン
専科所属の“壱加”さん
が突如行方不明となりま
した。繰り返して……」
それを聞いた瞬間弥嘉の
頭の中が真っ白になり、
その場から一歩たりとも
動けなかった。
しまいには、一筋の涙が
弥嘉の頬を伝った。