女性がひとしきり騒ぎ、
それを男性が懸命に制止
した後改めて自己紹介が
再開された。

彼女は既にいる紗奈恵を
差し置き、弥嘉の背中を
何度も叩いてきた。

そのため、弥嘉は戸惑い
ながらも口を開いた。


「ええっと……翔華高校
から参りました石河弥嘉
と申します。何卒宜しく
お願い致しますっ!!」


弥嘉はそう言うや否や、
顔一面を真っ赤に染めな
がら勢い良く頭を下げて
お辞儀した。

それを眺めていた周囲の
人々はあまりの丁寧さに
仰天していたが、紗奈恵
だけは“彼女らしい”と
思い微笑を浮かべた。

その直後若干色めき立つ
周囲を、紗奈恵は横目に
入れつつ徐に口を開く。




「先程ご紹介に預かりま
した、飯塚紗奈恵です。
ちなみにもし弥嘉に手を
出すような事があれば、
誰であろうと容赦はしま
せんので悪しからず」




そう言うと、綺麗な顔に
冷徹な笑みを浮かべた。