「――っとまあ、ざっと
こんな感じやろか!!」


やっとのことで全てを話
し終えた都は、達成感で
満面の笑みを浮かべた。


「自分から振っといて難
だけど、流石に3年分だけ
あってクソ長かったな」

「ちょっ……壱加!!」


ふと小さく毒づいた壱加
を紗奈恵がすかさずたし
なめる中、弥嘉は眉間に
シワを寄せながら只一人
沈黙を守っていた。




『――国家に命を狙われ
ていた都ちゃん。ですが
彼女を助けたのは紛れも
なく国家の中枢を担って
いる方々。そして、その
原因を作ったのは隣国の
ドラゴンと守特構……』




「や、弥嘉?どした?」


暫し紗奈恵と他愛のない
会話に花を咲かせている
うちに、ようやく異変に
気が付いた壱加は、弥嘉
の目の前で何度か手を振
ると思わず声をかけた。

ところが、弥嘉は未だに
思考の渦にいるのかぴく
りとも反応を示さない。




『この場合、一概に国家
だけが悪いとは言い切れ
ないかもしれません』




「弥嘉?や・よ・い?」

「何?どうしたの?」

「さっきから呼んでんだ
けど返事がねぇんだよ」

「……顔色が少し悪いみ
たいね。弥嘉、ちょっと
弥嘉?大丈夫?」




『それに、どんなに理屈
を並べようとも実際には
私もこの社会で生かされ
ている訳ですし……何が
正しいのか益々分からな
くなってきました』




壱加らの懸命な呼びかけ
をよそに、弥嘉は今まで
の話を改めて振り返るや
否や混乱のあまり酷く頭
を抱え込んだ。