一通り笑い終えて満足す
ると、女性はそそくさと
部屋をあとにした。
「……じゃあ、お茶でも
入れてきますんでここで
待っててください」
『ちょおっ!?俺をこんな
不気味な所に一人置いて
いくなよ、オバサン!!』
壱加の必死な叫びも届く
ことなく、無情にも扉は
堅く閉ざされた。
『はぁ、どうすっかな~
……ん?何だこれ?』
彼は何気なく机に視線を
落とすと、そこには豪快
に笑う黒のボブヘアーの
少女と控えめにピースを
する薄茶色のミディアム
ショートの少女が並んだ
写真が飾られていた。
『コイツが都?案外普通
そうだな……ん!?じゃあ
こっちが弥嘉?この時は
まだ結わえてねぇのか。
それにしても、コイツら
まだちっせぇのな』
それを眺めるうちにいつ
の間にか壱加は顔を綻ば
せていった。
「あっはは!!いっくん、
どんだけやよちゃん好き
やねん!!あっはは!!」
突如発せられた大音量の
笑い声に、壱加の双肩が
びくりと跳ね上がった。