「……先程とは違って、
随分私を擁護してくれて
いるようだな?どういう
風の吹き回しだ?」


数分前とは矛盾する壱加
の発言を聞き、徹は些か
挑戦的な口調で問うた。

すると、壱加は何もかも
見透かしたように得意気
に口を横長に開いた。


「――自分の欲望のため
だけに娘を利用しようと
する割には至る所に哀愁
漂わせすぎんだよ!!暫く
見てりゃ流石に分かる」

「……………参ったな」


あまりにも的確な指摘を
受け、徹はばつの悪そう
に何度も頭を掻いた。


「これから言う事は全て
弥嘉にはオフレコな」


そう言って口元に人差し
指を立てる徹に、壱加は
黙って首を縦に下ろす。

それを確認すると、徹は
徐に話を切り出した。


「――そもそも、弥嘉を
守護者にしようとしたの
はあの子が“眼”を所持
していたからだ」

「あ~何か守護者に相応
しい奴が継承されるとか
前に言ってたな。まさか
そんな半ば伝説チックな
ことに則ったのかよ!?」

「馬鹿か……私は根拠が
ないことは基本信じない
質だ。あれは説得材料と
して必要にかられて用い
ただけだ。さらに重要な
理由があるからに決まっ
ているだろうが」

「重要な、理由?」


呆れた表情を浮かべつつ
言葉を紡ぐ徹に対して、
壱加は彼の意図が一向に
分からず首を傾げた。