『ですが、折角ここまで
来たのですから本を探さ
なくては本末転倒も良い
ところですよね……はぐ
れたといってもこの地下
のどこかにいらっしゃる
でしょうから、落ち着い
てから捜索をしますか』


そう考えた弥嘉は、早速
本棚を調べ始めた。




『それにしても、量が多
すぎて何から見て良いの
か分かりませんね』


書物の多さを目の当たり
にして些か途方に暮れて
いると、彼女の目にある
物が飛び込んできた。


『――これは?』


弥嘉はその近くまで歩み
寄ると、タッチパネル式
の検索用端末が一台だけ
鎮座していた。


『――書物の著者や作品
名だけでなくキーワード
からも探せるのですか』


端末の利便性に感心する
や否や弥嘉はすぐにキー
ワードを打ち込んだ。


【2007年秋 行方不明者】


すると一瞬で該当資料が
画面全体を支配した。


『75件……もう少し絞り
こんでみましょうか』


弥嘉は、検索結果を考慮
して先程より少しばかり
多く言葉を付け加えた。


【2007年秋 国家 守護者
 抗争 行方不明者】


今度は、前とは比べもの
にならない件数と空白が
画面に表示された。


『3件……これなら、今日
中に調べられそうです』


思わず安堵した弥嘉は、
その画面の情報をメモに
控えた後、それらを探し
に足を伸ばした。