一方、弥嘉は石壁の回転
によりとある部屋に放り
込まれていた。
「――っ痛ぁ!!」
その際に大きくバランス
を崩して腰から着地した
弥嘉は、あまりの痛さに
何度もそこをさすった。
痛みがある程度引くと、
弥嘉は次第に辺りを見渡
し始めていた。
「ここ……は?」
そこには、図書館の地下
にしては些か異様な光景
が広がっていた。
部屋の全体が円形の吹き
抜けになっているのと、
先程とは異なり青白い光
が周囲を照らしている為
独特の薄暗さや湿っぽさ
を微塵も感じさせない。
また、それに沿うように
書物が詰まった数え切れ
ない程の本棚が天井付近
まで並べられていた。
『これは凄い……まさか
これだけ多くの本がある
とは思いませんでした』
弥嘉はその規模の大きさ
に暫し圧倒されて思わず
言葉を失った。
『そう言えば壱加は?』
彼が近くにいないことに
ようやく気付いた弥嘉は
すぐに目を見開いて周囲
を汲まなく眺めた。
しかし、一向に彼が見つ
かる気配はなかった。
『先程のアレで、はぐれ
たのかもしれませんね』
弥嘉はそう考えると少し
ばかり表情を曇らせた。