やっとの思いで弥嘉達が
階段を降りると、今度は
漆黒の高い石壁が行く手
を阻んでいた。
「……どうやら、ここで
行き止まりのようです」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」
あまりにも無遠慮な叫び
声に、弥嘉は思わず両耳
を塞いだ。
「じゃあ一旦戻っ……」
ガガガガガガ……ガタン
「――ガ、ガタン?」
「今ので、入り口が閉じ
たようですね」
弥嘉はそう言うや否や、
徐に来た道を見上げた。
「のぉぉぉぉぉぉぉ!!」
彼は再び大声をあげると
頭を抱えてすぐさまその
場にしゃがみ込んだ。
***
「……何してんだ?」
暫くしてようやく冷静に
なった壱加は、石壁付近
を何度もうろつきながら
学生証を振りかざす弥嘉
に不審な目を向けた。
「先程と同様に、これを
かざしておけばどこかが
開くやもと思いまして」
「んな都合の良いことが
2回続けて起こるかぁ!?」
弥嘉の楽観的な発言に、
彼は盛大な溜め息を漏ら
しつつ壁に手をついた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
すると、今まで行き止ま
りだったはずの壁が突然
回転を始めた。
「きゃっ!!」
偶然石壁に一番近い場所
にいた弥嘉は、否応なく
それに巻き込まれた。
回転が止むと石壁は元の
静寂さを取り戻した。
「ちょっ……はぁぁぁ!?
弥嘉、弥嘉ぃーー!!」
壱加は、石壁や先程手を
ついた場所を幾度となく
叩いたがびくりとも動く
気配はしなかった。
「マ……マジかよ!?」
今や物音一つしない空間
の中で、彼は一人静かに
絶望に打ち拉がれた。