妙な沈黙が漂いながらも
弥嘉達は懸命に歩を進め
たため、すぐに目的地へ
到着した。
「一応着いたが、どこに
かざすんだ?それらしき
ものがねぇんだけど!?」
「まずは中央に立つので
したよね……っと」
弥嘉はそう言ってコの字
に囲まれた中央に立つ。
その後、すぐに学生証を
鞄から取り出して本棚の
真っ正面に掲げた。
ガガガガガガガガガガガ
すると、足元から地割れ
の如くけたたましい音と
振動が響き渡った。
「「――――!!!!????」」
予想外の出来事に、2人は
声すらも出せずにいた。
ようやくそれが収まると
いつの間にか例の本棚は
他と同様の配置で並んで
おり、元の区画には巨大
な穴が空いていた。
そこからは、僅かながら
暖色の光が漏れていた。
「――階段……か?」
「どうやら地下まで続い
ているみたいですね」
2人は暫しの間警戒したが
やがてゆっくりとそれを
降りていった。
***
「ぶっ、不気味すぎる」
階段を降りて数分が経過
した頃、壱加が突如消え
入りそうな声で呟いた。
「どうしてです?足元が
明るいのに越したことは
ないじゃありませんか」
「良く考えてもみろっ!!
さっきから全く人の気配
がしねぇのに、こんなに
明るいなんて不気味以外
の何物でもねぇだろ!!」
「さして驚く事でもない
と思いますよ?この先に
あるお部屋にどなたかが
いらっしゃっているだけ
かもしれませんし……」
「いや……そっちの方が
逆に怖ぇよ。何でそんな
無駄に冷静なんだよ!?」
今の状況に全く恐怖心を
抱いていない様子の弥嘉
に対して、壱加は思わず
怪訝な表情を見せた。