「それならこの“一筋の
蒼き光”は?こんなもの
見たことねぇけど?」


尚も疑問をぶつける壱加
にも嫌な顔一つせずに、
弥嘉は丁寧に答えた。


「三行目は、本の特徴を
示しています。“一筋”
は冊数、この場合は一冊
ですね。また“蒼き光”
は光沢がある蒼色の表紙
の本ということです」

「確かに条件は合ってる
かもしれねぇが……他に
当てはまりそうな書物も
あるんじゃねぇの!?」

「そこで、再度この文の
全体を見てください」


尤もな意見を述べる彼の
前に、弥嘉は間髪を容れ
ずに例の紙を広げた。


「ここから、キーワード
を抜き取っていきます。
例えば一行目は“王”で
二行目は“盾”です」

「……とすると三行目は
“光”で四行目は“汝”
っていうワケか?」

「正解です。では次に、
それを順番に音読みして
いってください」

「ええっと、王は“オウ”
で盾は“ジュン”……光は
“コウ”で汝は知らねぇ」

「この場合、汝は“ジョ”
と読みます。最後にそれ
を並べ変えてください」

「オウ・ジュン・コウ・ジョ、
コウ・オウ・ジョ・ジュン、か?
あっ!!“オウコウジュンジョ”」


ようやく閃いた壱加に、
弥嘉は穏やかに微笑む。